ニューヨーク不動産市場第2四半期・パンデミックにより売買件数70%以上減少か?

2020/4/3 タグ: / / / / /

昨日のニューヨークタイムズでは、ニューヨークの春の不動産市場は壊滅的になる可能性があると掲載されました。

パンデミック前のニューヨーク不動産市場

2020年、ニューヨークの不動産市場は力強くスタートしました。2018年には、州税、地方税、固定資産税の控除に対する新しい上限がニューヨークの高価格市場に影響し、2019年には、高級マンションの譲渡税の引き上げ等一連の税制改正により市場が更に停滞しました。又、昨年夏に可決した新テナント保護法や、ピィエ・ダ・テェア(Pied-a-terreとは、主たる住まいは郊外に所有しつつ、都心に定期的に使用する為のセカンドハウスを所有する事です。)の新しい税法の可能性や、高止まりしたままの物件価格等の障害があったにもかかわらず、第1四半期においては、勢いのある上昇傾向となりました。

米不動産会社ダグラス・エリマンのデータによると、今年の第1四半期のマンハッタンの販売戸数は、前年同期2,121件と比較して13.5%増加の2,407件となりました。前年同期と比較して増加したのは過去2年半で2回目です。又、販売価格の中央値は1.06ミリオンドル(およそ1.16億円)で、昨年の同時期と比べて1.4%しか下がっていません。2月の売買契約件数は1,231件と過去10か月で最も多く、買いが引き続き堅調であることを示しており、春のニューヨーク不動産市場では売買取引がピークに達すると期待されていました。

パンデミック後のニューヨーク不動産市場

しかしコロナウイルスの蔓延により、わずか2週間で米国では1,000万人の雇用が喪失し、世界経済の基盤が揺さぶられました。ニューヨーク不動産市場の強い勢いも、ニューヨーク州からの在宅要請と他の様々な制限により、停滞してしまいました。物件購入は高額な買物となりますので、通常買主は、実物を見てから購入の決断をしますが、オープンハウスや対面式の物件案内は事実上禁止となってしまいました。不動産販売においての一番の障害は、ビデオ通話やその他のテクノロジーをプロセスに組み込む努力をしても、実物を見せずに販売する事です。不動産業は生活に必要な業種と認められていなかったので、営業が認めておられませんでしたが、クオモ知事からの新しいガイダンスにより、一部の内覧とバックオフィスの不動産機能を継続できるようになりました。しかし、買主が実際に内覧をせずに購入することに同意したとしても、訪問者や新たな入居を許可しているアパートは、現時点ではほとんどなく、まだまだ越えなければいけないハードルは沢山あります。

不動産データ企業のアーバンディグズによると、3月末でマンハッタンでは5,801件の売買情報が掲載されておりますが、昨年の同時期と比べて15.3%減少しています。

高級物件市場

数年間価格修正が継続されている高級物件市場においては、さらに影響を受ける可能性があります。先週(3月最後の週)2009年8月以来の週の最低販売率となり、4ミリオンドル(およそ4億4,000万円)以上の販売件数は、2件のみとなりました。ちなみに、昨年同期間中の4ミリオンドル以上の販売件数は21件でした。

今後のニューヨーク不動産市場

現在市場にでている販売価格は値段交渉できる可能性が高く、買手市場になっています。9月11日の同時多発テロや、2008年のリーマンショック直後は、売却価格は25〜35%下落しましたが、その後上昇し、ニューヨークの不動産市場は2015年頃がピークとなっていました。以後、緩やかな調整を継続していましたが、パンデミック前の不動産市場は復活を遂げ、上昇傾向となっておりました。

収束に向かうまでの期間が長引くと、第2四半期の新契約数は、昨年同時期と比較して70%以上減少する可能性がでてきましたが、ニューヨークがパンデミックからどれだけ早く回復できるかで、影響の大きさが決まります。ロックダウンにより停滞した買い手の需要が、回復時に一気に持ち込まれる可能性が高いです。

ニューヨークで不動産ご購入を検討中の方は、今年の不動産市場を注意深く観察し、買い時を逃さないようにしましょう。

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