ニューヨーク・マルチファミリーハウス住宅市場レポート(2025年第2四半期)

2025/8/13 タグ: / / / / / / / / / / / /

今回は、ニューヨーク市におけるマルチファミリーハウスの市場動向についてご紹介します。

マルチファミリーハウスとは?

マルチファミリーハウスとは、アメリカにおいて1棟に複数の住戸が入居可能な住宅物件を指します。複数の賃貸ユニットによって収益が安定しやすいため、投資用物件として高い人気を誇ります。

市場概要

高級賃貸市場(Class A):回復傾向

・市全体で供給が減少し、加えて高所得層の安定した需要により、2025年初頭にはClass A物件の稼働率が上昇。
・ブロンクスおよびクイーンズでは空室率が1.5ポイント改善し、家賃も再び上昇傾向に。
・マンハッタンおよびブルックリンでも指標は改善。ただし、オフィス関連職の雇用減により成長の勢いはやや鈍化。
・年間を通じて新規供給は抑制される見通しであり、空室率は引き続き低水準を維持する可能性が高い。
・一方で、雇用情勢のさらなる悪化があれば、賃貸スピードの鈍化リスクも想定される。

ミドルクラス賃貸市場(Class B):ブルックリンで供給過多

・ブルックリンでは、クラウンハイツやウィリアムズバーグなどを中心に中価格帯の新築物件が大量に供給され、賃貸が追いつかず空室率は2020年以来の水準(4%近く)に上昇。
・ただし、2025年以降は新規供給が減少する見通しのため、今後の悪化は限定的と見られる。
・他エリアではClass Bの空室率は依然として3%未満に抑えられている。
・労働市場の鈍化は、働く世帯の需要に影響を与える可能性があるが、供給の少なさが市場家賃の底堅さを支えている。

建設状況

・2025年第1四半期の新規供給戸数は2016年以来の最低水準。
・新規供給のうち、ブルックリンが過半数を占め、次いでクイーンズ、マンハッタンと続く。
・地区別の新規供給戸数は以下のとおり:
 ブルックリン:約10,000戸
 クイーンズ:約6,000戸
 マンハッタン:約4,000戸
・各地区とも在庫増加率は2%未満にとどまっている。

空室率

・都市全体の空室率は1.9%で、3四半期連続で横ばい。
・Class A物件の空室率は4.8%(前期比70ベーシスポイント減)。
・ダウンタウン・ブルックリン、ミッドタウン・サウス、ウィリアムズバーグなどの高所得エリアでは空室率が大きく改善。
・一方、クラウンハイツなど一部エリアでは空室率が上昇傾向にある。

家賃動向

(Data Source: Co-Star)

・2025年3月の平均実効家賃は3,040ドルとなり、前年比で過去最大の上昇率を記録。
・クイーンズおよびクラウンハイツでは家賃上昇ペースがやや鈍化。
・一方で、ブロンクスやマンハッタンの高所得層居住エリアでは、家賃上昇率が約3%に達している。

雇用動向

・2025年第1四半期の新規雇用は約60,000人で、過去5年で最も少ない水準。
・ただし、長期平均とはおおむね一致。
・教育および医療分野の雇用は依然として安定している。

投資動向

(Data Source: Co-Star)

・2025年第1四半期の取引件数は、2022年半ば以来の高水準。
・3月にSection 610(バウチャー利用者への追加家賃徴収を認める制度※)が停止された影響で、市場価格物件への投資需要が高まると予測される。
 ※「バウチャー利用者」とは、主にアメリカの低所得者向け住宅補助制度を利用している人を指す。収入に応じて家賃の一部を自己負担し、残りを政府が補助する仕組みで、民間の賃貸物件にも入居可能。

・ブルックリン中部やクイーンズでは、自由市場型物件への関心が集まる。
・ブロンクスでは、Class C物件の空室率が1%未満と低く、家賃規制下の物件も引き続き注目を集めている。
・築10年以内の比較的新しい物件への需要も高く、開発ペースの減速が追い風となっている

まとめ

高級賃貸は回復基調にあり、供給の少なさが家賃上昇を下支えしています。
一方で、ブルックリンなど一部エリアでは供給過多に注意が必要です。
今後は、エリアと物件タイプを慎重に見極めた投資判断が重要となるでしょう。

 

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