マンハッタンの不動産市場: 2025年第3四半期レポート

2025/10/24 タグ: / / / / / / / / / / / / /

【市場概要】現金購入が市場を支え、販売価格は緩やかに上昇

2025年第3四半期のマンハッタン住宅市場は、住宅ローン金利の上昇にもかかわらず、堅調な動きを見せました。
成約件数は3,158件と前年同期比で13.4%増加し、過去10年平均(3,029件)を上回る水準に。販売価格の中央値も1,180,000ドル(前年同期比+5.8%)となり、ここ3四半期で3度目の上昇を記録しました。
また、取引全体の約3分の2が現金購入で、特に300万ドルを超える高額物件では90%以上が現金決済。
こうした現金購入の増加と供給不足が、市場の底堅さを支える主要因となっています。
(参考:Elliman Report Q3-2025 Manhattan, NY Sales https://elliman.com/media/Manhattan_Q3_2025_507e5b0d4c.pdf )

【主な統計】販売増と現金購入が市場をけん引

・販売件数:前年同期比+13.4%の3,158件→過去10年平均(3,029件)を4.3%上回る。

・物件在庫:前年同期比 +7.0%の7,733件

・平均販売期間:7.3か月(前年比 +6.4%)→過去10年平均8.2か月よりやや早め。

・中央値販売価格:前年同期比 +5.8%の1,180,000ドル

・値引率:6.2%(前年同期と同水準)

・現金購入:前年同期比 +31%の65.3%、300万ドル超物件は90%以上を占める。

コープ(共同住宅) – 販売が在庫増を上回るペースで拡大

・販売件数は売り出し在庫数の増加を上回るペースで前年比増加。

・価格は全体的に上昇。

・入札競争は4.7%で通常レンジ内で推移。

・過去2四半期の6割以上の販売が現金購入。

コンドミニアム – 価格上昇継続、高額物件は現金取引が主流

・販売件数は売り出し在庫数の増加を上回るペースで前年比3年連続増加。

・中央値販売価格は前年同期比上昇、平均価格・面積単価も高水準。

・300万ドル超物件取引の約90%が現金購入。

高級物件 – 価格上昇続く、供給不足が顕著

  

・価格動向指標は前年比 +2.8%、市場全体を上回る上昇率を示す。

・高級物件在庫は前年比16.1%減。

・中央値販売価格は5,922,500ドルで4年連続上昇。

新規開発 – 販売堅調、価格は小規模物件中心で調整

・販売件数は前年同期比+71%の1578件と好調で、全販売の18.3%を占め6年以上ぶりの高シェア。

・中央値販売価格は前年同期比 -18.4%となり、1,750,000ドル(前年比 -18.4%)。平均販売面積は前年比 -9.6%(1,343平方フィート)。

・新規開発物件の在庫は前年比で2度目の減少。

【市場の特徴】現金購入と供給不足が価格を下支え

第3四半期のマンハッタン住宅市場を通して浮き彫りになったのは、現金購入と供給不足の二つの強力な支えです。
販売件数の増加が在庫の伸びを上回り、市場は引き続き活発。入札競争は4.7%と通常レンジ内に収まり、値引率も6.2%で安定しています。
新規開発物件のシェア拡大や、高額物件の現金取引の増加により、価格を押し上げる圧力が続いています。
高金利環境下でも、マンハッタン市場の強さは依然として際立っています。