マンハッタンの不動産市場: 2025年第2四半期レポート

2025/7/21 タグ: / / / / / / / / / / / / / /

【市場概要】予想以上の堅調さ、現金購入が市場を支える

2025年第2四半期のマンハッタン住宅市場は、住宅ローン金利が高止まりする中でも予想以上に堅調でした。
成約件数は前年同期比16.6%増の3,042件となり、過去10年平均を上回りました。
第2四半期の販売件数の約半数は、4月初めに施行された米国の関税政策前に契約が結ばれたと推定されており、関税の影響がなければさらに販売が伸びていた可能性があります。
現金購入割合は過去最高の69.1%に達し、高額物件では約8割が現金取引でした。販売価格の中央値も前年同期比1.6%上昇し、4四半期ぶりに下落傾向を脱しています。
現金購入の増加と供給不足が、市場を引き続き下支えしている状況です。

(参考;Elliman Report Q2-2025 Manhattan, NY Sales https://elliman.com/media/Manhattan_Q2_2025_0fdc7e70ea.pdf )

【主な統計】販売急増と現金購入の過去最高が市場をけん引

・販売件数:前年同期比 +16.6% の3,042件→過去10年平均(2,806件)を8.4%上回る
・物件在庫:前年同期比 +3.1% の8,296件
・平均販売期間:8.2ヶ月(前年比 1.0ヶ月短縮)→過去10年平均(8.3ヶ月)よりやや短め
・中央値販売価格:前年同期比 +1.6%→ 4四半期連続の下落から反転し、年間で3回目の上昇
・値引率:5.8%(前年より縮小、過去10年平均6.1%とほぼ同水準)
・現金購入:過去最高の69.1%→ 融資利用販売も前年同期比 +5.7%増加する一方、現金販売は +23%と大幅増。300万ドル超物件では78.3%、100万ドル未満でも60.4%が現金取引。

コープ(共同住宅)– 販売が供給を上回るペースで拡大

・販売件数は売出し在庫数の増加を上回るペースで増加。
・価格指標は前年比で全体的に上昇。
・入札競争の割合は7.1%と前年の7.4%からやや減少したものの、通常レンジ内で推移。

コンドミニアム– 価格上昇継続、高額物件は現金取引が主流

・販売件数は、売出し在庫数の増加を上回るペースで前年比3年連続の増加。
・中央値販売価格は5四半期ぶりに年間下落したものの、平均価格や面積当たり価格は引き続き高水準で推移。
・300万ドル超の物件取引の約78.3%が現金購入。

高級物件– 価格が8.8%上昇、供給不足が続く

・価格動向指標は前年比で+8.8%と、市場全体(+1.6%)を大きく上回る上昇率。
・高級物件在庫数は前年比21.2%減少した一方、非高級物件は9.1%増加。
・中央値販売価格は$6,525,000と、過去2年間で最高水準に。

新規開発– 販売堅調、価格と面積ともに拡大

・販売件数は前年同期比+19.3%の408件で堅調。
・中央値販売価格は年間+13.1%の$2,311,451となり、平均面積も13.3%増加(1,563平方フィート)。
・第2四半期の販売シェアは13.4%で、前年同期(13.1%)から微増し、10年平均(14.6%)に近づく。

【市場の特徴】現金購入が市場を牽引、供給不足で活発化

今期のマンハッタン住宅市場は、現金購入の割合が過去最高を記録するなど、依然として力強さを維持しました。住宅ローン金利が高止まりする中でも、現金取引が市場を下支えし、特に高額物件でその傾向が顕著でした。
販売件数の増加が在庫数の伸びを上回ったことで市場は活発化し、供給月数は前年比で短縮されました。入札競争の割合は7.1%と前年からわずかに減少しましたが、依然として通常の範囲内に収まっています。
また、値引率は5.8%と前年より縮小し、交渉余地はやや減少傾向にあります。こうした動きから、供給不足と現金購入の増加が引き続き価格を支える構図が鮮明になっています。