【2020年】ニューヨーク不動産賃貸市場の崩壊

2021/1/12 タグ: / / / /

2020年ニューヨーク賃貸市場

2020年の初め、ニューヨーク市の不動産市場はまだ勢いを増しており販売価格は横ばいでしたが、賃貸市場は好調でした。 しかしながら、パンデミックはすべてをひっくり返しました。

わずか9か月間で、コロナウイルスはニューヨークの過去10年間の急激な賃料上昇を逆転させました。

ニューヨークで大幅な家賃割引合戦

富裕層が人口密度の高い都心から郊外へ移住し、又、職を失い家賃を支払えない数十万人の賃貸人が立ち退きに直面しました。空室が急増し、大幅な家賃割引合戦が繰り広げられています。

賃貸サイトStreetEasyによると、マンハッタンの家賃は、3月の月額中央値3,509ドルから11月の月額中央値2,776ドルまでおよそ20%下がり、2010年以来の最低価格となりました。

参照:ニューヨークタイムス

ニューヨーク賃料昨年比

マンハッタンの家賃の11月の値下がりは、昨年の同時期と比較して12.7%の減少であり、価格が10%近く下落した大不況時の最大の値下げをも上回っています。

他の自治区でも同様の傾向が見られましたが、それほど目立たないものでした。 11月の家賃の中央値は、ブルックリンとクイーンズで約6%減少し、 スタテンアイランドとブロンクスの価格も下落しましたがデータ不足で数字が出ませんでした。

今後のニューヨーク賃貸市場予想

空室の急増は、数ヶ月の無料家賃、免除された仲介手数料等、かつてニューヨークの大家ではありえなかった譲歩をもたらしています。

イオ・ミン・ペイが設計した高級マンション、キップス・ベイ・タワーズでは、6月に500平方フィートのスタジオを月額2,595ドルで賃貸契約されました。 しかし3か月後には同じフロアで同様のユニットが27%値引きの月額1,900ドルで契約、更に現在 では別の同様のスタジオが$ 1,800でマーケットに出ています。

StreetEasyの分析によると、COVID感染率が最も低いSOHOやアッパーイーストサイドなどの富裕層が多く住む地域では、2月から11月にかけて家賃は6.7%下落となりました。

しかし、COVID感染率の高い地域、主にクイーンズのコロナやブロンクスのキングスブリッジなど、黒人、ヒスパニック系等の移民が多いコミュニティーでは、同じ期間に家賃が1%しか下落しておらず、最も救済が必要な人達は家賃下落の恩恵をあずかっていません。
政府による追加支援策による立ち退き猶予期間の延長となり、全国的に2021年上半期に約76万から400万人、ニューヨーク州では、11万人~59万人の賃借人の立ち退きが発生する可能性は免れました。
StreetEasyのエコノミスト、ナンシー・ウー氏は、大量の予防接種が目前に迫っていても、正社員の失業と高級物件の賃貸在庫の過剰により、家賃がパンデミック前のレベルに戻るまでに数年かかる可能性があると述べています。